萌えに包まれた世界



西暦3××××年……え?桁が多すぎないかって?

まあ、知らない方がいいこともたくさんありますよ。

ともかく……。世界は『萌え』の狂気……もとい、『萌え』の恐怖に包まれた。

なんと地球上の女の子という女の子が『雛子』ぐらいの年齢に退化してしまったのだ。

それはもちろん、妹達も例外ではなかった。





「ああ……なんて幸せな世界になったんだ……」

この何の変哲も無い少年が、12人の『超』が付くほどかわいい女の子達の兄なのだから、世の中は不思議である。

「ほっとけ……人が気にしてることばっかり……」

蛍が家の外で寝転がっていると、妹の1人である花穂が走ってくる。

「おにいちゃま〜!!花穂と遊ばない?」

「喜んで!!花穂……なんてかわいいんだ〜!!」

とっさに我を忘れて花穂を押し倒す蛍。

「おにいちゃま……?……花穂、おにいちゃまとなら……いいよ……」

意味が分かって言っているのだろうか?
まあ、この欲望に忠実なスケベでドジで頭も悪くて何のとりえも無い蛍が、躊躇などするはずもなく……。

「それじゃ、遠慮なく……」

当然こうなってしまう。しかし、世の中そんなにうまくいくはずがなく、いつも邪魔が入ってしまう。

この時も例外ではなかった。

蛍が花穂を押し倒そうとしていると、彼の妹の1人である四葉が走ってくる。

もちろん四葉も雛子サイズになっている。

「あにちゃまぁぁ!!なにやってるデスか〜!!」

「怒ってる顔も可愛いよ、四葉」

「いや〜ん!!あにちゃまったら、正直なんだからぁ〜!!」

四葉は、その場でくねくねとうねっている。

「さて、四葉はああなっちゃったし、続きにいこうか……花穂……」

「『稲妻誘導衝撃爆裂(以下省略)光線』発射!!」

『チュドォォォォッ』

何時の間にか後ろに立っていた、ミニ鈴凛の横の機械(大砲サイズ)が放った
光線のような物によって、辺り300km四方に巨大な『鈴凛印』の穴が空いた。





「あたたた……急に何するんだ!!鈴凛!!」

ここで蛍は、ある重大な異変に気付いた。

「花穂!?どこいった!?まだヤってないのに!!」

「『全てを破壊するために生まれた200tハンマーα!!』」

直径5mはありそうな200tのハンマーを、軽々と振り回す鈴凛。

『ゴキンッ』

200tのハンマーは、蛍の頭を直撃した。

「痛ぇ!?何するんだよ!!鈴凛!!」

頭から流血しているのも気にせず、会話を続ける蛍。ある意味『超人』である。

「今の発言はどう考えても未成年には有害でしょうが!!もっとこう、『体の関係を持てなかったぁ』とか、『子供を作れなかったぁ』とか、言い方があるでしょうが!!」

『ゴンッ』

蛍が、グーで鈴凛の頭を叩く。

「いった〜ぃ……何するのよ?あにき?」

やや、涙声になる鈴凛。

「どっちだって結局一緒「『顔面直撃ミサイル』発射!!」『ズドムッ!!』だろうが……ふ……効いたぜ…… 今のパンチ……さすがは……インチキ発明「『人間破壊ミサイル』発射!!」『ズドムッ』家……だな……」

大きさはバラバラだが、どちらも直径30cm以上はありそうな砲弾のような物を、まともに顔面で受け止める蛍。

「あにき……あなたのこと……いつまでも忘れない……安らかに眠ってね……」

「……って、勝手に殺すなぁ!!」

「あ、生きてたんだ?」

「あのなぁ!!誰のせいだと「『殺人ミサイル』発射!!」『ズドムッ』思って……る……ん……だ……」

今度の砲弾のような物は、直径1m弱はある。それを顔で受け止めたために支えきれず、蛍は地面に倒れて気絶した。

『バタッ』

「ふぅ……始末したわね……後は、ここに埋めてしまえばすべてOKね!!」

「OKじゃない!!つーかまだ生きとるわ!!埋めるなぁ!!」

「なんだ、生きてたの?残念……私の発明もまだまだねぇ……」

「だいぶこの後の展開が読めてきた気がするが……一応聞いとく。その機械はなんだ?」

鈴凛がミサイルやら光線やらを打ちまくっていた機械について、蛍が尋ねる。

「よくぞ聞いてくれました!!これは、その時の気分次第で、大小様々、威力もその都度違う ミサイルなどを発射する、名付けて『適当物体破壊君』!!」

「で、その威力の程は?」

「う〜ん、一番小さい奴だと大体、人が1人吹っ飛ぶぐらいかなぁ……? で、一番大きい奴だとなんと!!『地球が破壊』出来ちゃうの〜!!うふふ〜、すごいでしょう?」

ものすごいことを、すごくうれしそうに言う鈴凛。

「捨ててきなさい」

きっぱりと言い切る蛍。

「え〜!?なんでよ〜!?自信作なのにぃ……」

心底つまらなそうな顔をする鈴凛。そのとき、地面の下に埋もれていた花穂が、地面から出てくる。

「ふぁぁ……あれぇ……花穂なにやってたんだろう……?ところで、これ、何のスイッチかなぁ?」

何時の間にか鈴凛の横まできた花穂は、『適当物体破壊君』に付いている、『骸骨』のマークが付いているスイッチを不思議そうに眺めている。

「ああ……これでもう落ちも決定か……花穂!!言っても無駄だと思うが、それに触るな!!」

「ふぇ?これ?おにいちゃま?……えい!!」

『ポチッ』

「あ……花穂ちゃん……それ……自爆装置……」

『チュドォォォォォンッ』

「のわああああああああ!?」

もの凄い、とにかく凄い爆発に、絶叫を上げながら巻き込まれる蛍と2人の妹。

3人は、しばらくの間、気を失っていた。





「う……ここは……夢……か?そ、そうだよなぁ〜、あんな爆発に巻き込まれて生きてるはずがないもんなぁ……」

しかし、蛍のそんな期待は見事に裏切られてしまう。

「いたたた……花穂、またドジしちゃったぁ……テヘッ☆」

「『テヘッ☆』じゃなぁぁぁぁい!!あ、でも今は花穂と2人っきり……?ということは……」

周りに誰もいないことを確認すると、蛍は改めて花穂を押し倒した。

「どうしたの!?おにいちゃま!?」

「続きをやろうか……花穂……さあ!!俺と誓いのキスを!!」

「い……いやああああああああああ!!!!」

『ズドムッ!!!!』

壮絶な拒否反応を示す花穂の『蹴り』によって、思い切り吹き飛ばされる蛍。

「あ!?おにいちゃま!?……………………………テヘッ☆」

何事も無かったかのような最上級の笑顔を浮かべる花穂。

「だから『テヘッ☆』じゃなぁぁぁぁぁぃ!!」

こうして、蛍は星になりましたとさ。めでたし、めでたし……。

「めでたくないわぁぁぁ!!」

そして蛍は、通称『人星』として有名になったのでした。


                     

続……きません。



もどりますか?