明かり1つない、夜の校舎。
そこに、2人の少年と、1人の少女がいました。
3人は、本当に、怪談というものがあるのかどうかを、夜の学校で確かめようとしたようです。
あらかじめ開けておいた窓があったため、侵入するのは簡単でした。
3人が、しばらく校舎内を歩いていると、突然、どこからか、足音が響き渡ります。
あせった3人は、急いで、一番近くの教室に入ります。
足音の正体は女性で、なぜか、誰も乗っていない車椅子を押していました。
女性が、3人が隠れている教室を通り過ぎようとした瞬間、1人の少年が、物音を立ててしまいました。
驚いた3人が廊下を見ると、女性が、車椅子を押しながら、3人の方に迫ってきます。
2人の少年は、教室から出て、何とか逃げ切ることが出来ました。
しかし、一緒にいた少女と、途中ではぐれてしまったことに気付きます。
女性は、少年ではなく、一緒にいた少女の方を追いかけたのです。


このままではつかまると判断した少女は、トイレに隠れることにしました。
やがて、追って来る足音も消え、少女が、すっかり安心し、ふと上を見上げたそのとき。
少女の悲鳴が、学校中に響き渡ります。
上から、さきほどの車椅子の女性が、少女のことを見下ろしていたのです。


少年2人は、無事に外に出ることが出来たのですが、そこから校舎内を見てみると、車椅子を押す女性が目に入ってきました。
その車椅子に乗っているのは、生気が全く感じられない少女でした。
…その後、その少女と、車椅子の女性を見た人は、誰一人としていなかったそうです。